自己表現の難しさ。
相手もそんなに表現できていない。
分かり合えないことから始める。
自分さえ理解できていないのに、相手を理解なんてできませんよね、はい。
付き合いのある相手から「あなたと出会ってから、自分と向き合うようになった」、と言われた。
しみじみと、とても嬉しい言葉をもらったと思う。同時に、自分はどうなのかなと思った。人と向き合う時は、自分自身がその人のことをどう受け入れようとしているのか、まじまじ観察しないと分からない。
相手は自分の鏡だと、人の言う。本当にその通りだと思う。
買い物帰りの道すがら、上野駅の花屋で花を買った。お店の前で、何人かが売られている花を眺めていた。ぼくがそこに割って入って花を手に取ると、他の人もつられるように手に取った。
鮮やかな黄色や、凍えた時の唇みたいな赤色が、数輪混じったチューリップのブーケを買った。
もうすぐ庭の梅が咲き、それから家の近くの桜並木が満開になって春先のまだ寒い空をほんの少し暖かく彩る。
季節が進んでも、自分は堂々巡りしていないか不安になりながらも、一歩一歩丁寧に踏み出して家路についた。