気は長く、勤めは堅く、色うすく、食細くして、心広かれ
天海は好きな僧侶の一人だ。家康、秀忠、家光の三代に仕え、上野の寛永寺を開き、江戸の街の構想に風水の知見から携わったとされている。
いつだったか、上野の国立博物館が何故あの向きなのか不思議に思って調べたことがある。まさかと思い地図を見て驚きたのは、皇居の天守に向いていたこと。そこから上野の山の歴史を紐解いてみて、合点がいった。あそこは京都の比叡山と似せてあって、江戸の鬼門を守る場所だそうな。
江戸から明治にかけて、そこが激戦の場となったことが何とも悲しい。
関東大震災では山に登る人たちを火事から守ってくれたことだろう。戦争では火の山になったはずだ。
そんな歴史を辿って、今日春には桜が満開になり、たくさんの人で賑わうのが上野の山だ。
祖父が上野の山を好きだったこともあり、自分も好きだ。
心霊スポットという人もいるし、負のパワースポットという人もいる。自分にとっては、落ち込んだ時に歩きまわって気を紛らわせる、数少ない好きな場所だ。
そんな場所を作ってくれた天海が好きだ。なんというか、ミステリアスな人物像も惹かれるところがある。
そして、冒頭の唄は、天海が詠んだ養生訓である。
気を長く持ち、仕事をしっかりし、色欲に溺れず、質素な食事で済ませ、常に心を広く持つ。
長生きをしたいというわけではないが、生きていく上で、自分もこうありたいと思う。